前回のリール、前々回のロッドに引き続き、今回は管理釣り場初心者のためラインの選び方について解説していきます。
ラインって初心者の方は適当に選ぶことも多いですが、実はライン選び一つで釣りが全く変わるほど重要です。
ラインなんてルアーを結ぶだけのただの糸、と思われている方は、そのせいで釣れない可能性もあるのです。
今回も、もちろん初心者の方にわかりやすくをモットーに、管理釣り場におけるライン選びをやさしく徹底的に解説していきます。
管理釣り場用のラインとは?
餌釣りなどはラインにこだわらなくても釣れることもありますが、管理釣り場に限って言えばそうはいきません。
強度など根本的な部分はもちろんですが、ラインとルアーとの相性や飛距離への影響などが、管理釣り場では明確に表れるからです。
使うライン自体は、根本的にはほかの釣りに使うものと同じなのですが、その中から管理釣り場という環境を踏まえた選び方をしたほうがいいというわけですね。
一応専用品もあるのですが、じゃあそれを選べば安心かというとそうではないのが管理釣り場の奥深さでもあります。
管理釣り場用ラインの基礎知識
具体的にこういうものがいい、という話の前に、まずは管理釣り場という環境では、ラインにどういった要素が重要になるのか、概念の部分を解説します。
後ほど具体的な選び方も紹介しますが、概念の部分を覚えておけば、今後応用してより良いものを選んでいけるようになるので、ぜひ目を通してくださいね。
行く管理釣り場に応じて使い分ける
細かい要素の前に大前提になるのが、管理釣り場と言っても千差万別で、一言で「管理釣り場にはこれ!」と言えない事です。
なによりの違いが魚のサイズで、アベレージサイズは20~30cm、イトウのような大型魚が入っているような場所だと70cm以上がかかることもあります。
これだけ差があると、釣り方が同じわけがありませんよね。
つまりは、その管理釣り場各々でラインを使い分ける必要があるというわけです。
それについても、しっかり選び方の基本を覚えておけば対応できるので、ぜひチェックしておいてくださいね。
号数は細いものから選ぶ
自然での釣りだと、好き勝手にルアーを変えられるので、強度重視でラインは太めにするという方もいますよね。
しかし管理釣り場ではルアーの重さに制限があり、しかも昨今使われるルアーは小型化しているので、ラインがルアーに与える影響も重要になります。
例えば、軽いルアーに太くて硬いラインを結ぶとどうなるのでしょうか。
まず、軽いルアーはラインを引っ張る力が弱いので、飛距離が出にくくなります。
そして巻き寄せるときも、軽いルアーはラインの抵抗を受けやすいので、アクションが弱くなるのです。
つまりはルアーが飛ばなくなり泳がなくなるので、魚の反応も悪くなるというわけですね。
ラインの素材にもよるので、単純に太いからこうなるとは一概には言えませんが、とりあえず太くすることによるデメリットがある、というのは覚えておきましょう。
目視でアタリを取りやすいもの
無知識で行くと知らない方が多いのですが、管理釣り場ではラインに出るアタリを目視で取るのがめっっっっっちゃくちゃ重要です。
管理釣り場のトラウトは、ルアーを軽く咥えてすぐ放してしまうため、ロッドにクンと当たりが出るまでもないことが多いんです。
なので、トラウトがルアーを咥えて泳いだ時に出る、ラインの動きを見てアワセる技術が必要になります。
向こうに泳げばラインが張って、手前に泳げばラインがたるむ、という感じですね。
そのときに、目に見えやすいラインが有利である、というわけです。
素材(ナイロン・PE・フロロ・エステル)
管理釣り場で使われるラインは、ほかの釣りでもよく使われるナイロン、フロロカーボン、PEのほかに、エステルという素材があります。
それだけラインにこだわるべき釣りだというのがわかりますが、じゃあどう違うのか、とりわけ管理釣り場で重要になるポイントを簡単に解説しておきます。
ナイロンライン
- 伸びがある
- 水に浮く
- フロロより柔らかい(PEより硬い)
- 劣化がやや激しい
フロロカーボンライン
- ナイロンより伸びない(PEより伸びる)
- 水に沈む
- ナイロンより硬い(寒いとより硬い)
- 水中で光りを反射しにくい
PEライン
- 伸びない
- 基本的には水に浮く
- 非常に柔軟
- 水の中で目出つ(不透明)
- スレに弱い(リーダー必須)
- PE対応ガイドのロッドが必要
エステルライン
- ほぼ伸びない
- 水に沈む(フロロよりは軽い)
- フロロ並みに硬い
- 非常に切れやすい(リーダー必須)
- エステル対応ロッドが必要
初心者の方向け管理釣り場用ラインの選び方
では解説した内容を初心者の方に当てはめて、具体的にどんなラインが良いか考えてみましょう。
ナイロンから始めるのがおすすめ
4つの素材の特徴を解説しましたが、その中で初心者の方の管理釣り場用におすすめなのは、ナイロンラインです。
ナイロンラインはまず価格が安めであることや、カラーラインが選びやすく、軽いルアーも扱いやすい、広いタナに対応しやすいなどなどメリットが多いです。
それらのメリットを犠牲にしても、こういう釣り方がしたいとなったときに、ほかのラインのメリットを生かして釣るのがおすすめです。
例えば、
- 軽いルアーで深いレンジを探りたいならフロロ(ただし硬い)
- 飛距離を伸ばしたいならPE(ただし根が荒れていると切れやすい)
- 感度とフッキング重視ならエステル(ただし非常に切れやすい)
といったイメージですね。
ナイロンにはこういった特段大きな特性がない反面、そこまで大きなデメリットがないので、初心者の方の入門におすすめというわけです。
太さは3lbが基準
特別大物ばかりの管理釣り場というわけでないなら、基準としてのおすすめはナイロンラインの3lbです。
管理釣り場でよく使うルアーは2g前後以上なので、3lbよりも太いと軽いルアーが投げにくくなります。
逆に細いラインの場合、アタリに素早く反応してフッキングしないと、ルアーが飲まれてしまったときに簡単に歯で切られてしまいます。
3lbあれば30~40cmのトラウトなら十分釣れますし、ルアーも2~4g程度までならしっかり投げられるので、一つの基準としておすすめです。
これも実際に魚をコンスタントに釣れるようになって、もっと小さいルアーのほうが釣れるようなら細くして、大きいルアーでも釣れる大物が多いなら太めにするなど、実際釣る中での経験をフィードバックしていくようにしましょう。
長さは最低100m巻けるもの
ラインは一巻き何メートルか決まっていますが、管理釣り場用としては100m巻きのものがあればOKです。
管理釣り場では遠投しても50m程度ですし、あまり長く巻いても無駄になってしまいます。
なので、安いラインで下巻き(かさまし)してあげてから、100m程度使うラインを巻けばOKです。
もちろん、300m巻きなどを購入して、カットしながら巻いてもOKです。
ちなみに筆者は貧乏性なので、下巻きを多めにしてラインは70m程度巻いて、150m巻きの商品を2回分として購入しています。
ある程度なれてくると現場で切らなければいけないようなライントラブルが少なくなるので、投げる距離が30m前後の池(ポンド)なら、ラインは70mでも十分です。
釣り場環境に合わせたカラー
カラーは正直見やすければ好きなものを選んで問題ありません。
クリアで見えるというならカラーラインである必要もないですが、なかなかそんな強視力の方ばかりではないですよね。
ラインのカラーは、大きく分けてピンク・オレンジなどの暖色系、グリーンやブルーなどの寒色系があります。
個人的な使い分けとしては、自然豊富な場所だと、水面に映るのが木々の緑や空の青なので、どちらかといえば暖色系(とりわけピンク)のほうが見やすいと思います。
逆にプール釣り場などの場合はグリーンも使います。
厳密に言えばラインの色で魚の反応は変わるのですが、それよりアタリを取れなくなるデメリットが大きいですし、もしどうしても色付きが気になるというのであれば、目立たない色のショックリーダーを結べばOKです。
筆者も使うおすすめの管理釣り場用ライン
筆者が使ってきたラインの中から、初心者の方におすすめのラインをご紹介します。
今回はおすすめ◯選な感じの紹介の仕方ではなく、ズバッと「こう言うものが欲しいならこれ!」と少数精鋭でご紹介します。
【サンヨーナイロン】GT-R pink selection
筆者がナイロンラインを使うときは、海でも川でも管理釣り場でもとりあえずこれをベースに選ぶ定番のラインです。
適度に伸び、スレにも比較的強いので、トラウトにピッタリのラインと言えます。
エリアトラウト用としてなによりいいのが色で、半透明で薄めのピンク色がとても見やすく、ラインでアタリを取るエリアトラウトにピッタリです。
デメリットは、ナイロンとしてはややコシが強めなので、3lbだと2g以下のルアーが少し扱いにくい感じがあることですかね。
慣れれば問題ないんですが、スレに強いので細くても不安もないですし、1g台のスプーンやマイクロスプーンなど中心にを使うなら、太さを落としても使いやすいのがおすすめポイントの一つです。
【ヤマトヨテグス】ファメル スーパーソフト
とにかく最初は安いものがいい、という方におすすめの、安くてよく使えるナイロンラインです。
一般的なナイロンより柔らかく、最近主流のナイロンより伸びがあるので、魚をかけた後やり取りしやすい特性があります。
安いラインにはピンピンで使いにくいものも多いので、安めのラインの中では比較的使えるラインとして信用しています。
デメリットはカラーラインがないのと、お世辞にも強い糸とは言えないので、3lbで大型の魚は少し厳しいところでしょうか。
【サンヨーナイロン】アップロード Zo6
ややお高めですが、その価値ありの管理釣り場にぴったりのラインです。
ナイロンのしなやかさを活かしつつ、結び目の強さ、スレへの耐性、感度が他のナイロンとは一線を画します。
高いとは言え、GT-Rピンクと比べて実売価格で二割程度ですし、妥協せずはじめたいなら初心者の方にもおすすめです。
デメリットとしてはラインの色で、やや濁った水と非常に似た色なので、少し視認性が悪く、こまめにラインを水に付けて光らせないと目視でアタリを取るのは少し厳しいかなとは思います。
というわけで
今回は管理釣り場で使うラインについて、初心者の方向けに解説してみました。
ラインはただルアーを結ぶための糸というだけでなく、管理釣り場においてはルアーにどういう影響を及ぼすかも重要で、その点を重視したうえで強度なども選ぶ必要があるというわけです。
その影響は非常に大きく、ラインのせいで釣れないという状況すらあるほどです。
高いもの、安いものはありますが、せいぜい1,000円前後で、スプーンでいえば2個分なので、まずはスプーンにこだわる前に、しっかり使えるラインを選んでみてはいかがでしょうか。
というわけで今回はこの辺で。
ほかにもエリアトラウトロッドやリール、ルアーについても解説していますので、管釣りで釣りたい初心者の方は、ぜひそちらもチェックしてみてくださいね。