ここまでロッド、リール、ラインと解説してきましたが、やはり最終的に魚に対するルアーは中でも重要なアイテムです。
しかし管理釣り場はステレオタイプ的なイメージが先行してしまい、なんならメーカーもそれに甘んじて商品展開している節まであります。
個人的には、それが管理釣り場が釣れない釣り場だと思われている一因にもなっているのではと思っています。
というわけで今回はステレオタイプを吹っ飛ばして、初心者の時に苦労した筆者なりの、初心者向けエリアトラウト用ルアー論を解説していこうと思います。
なるべくサラッと説明しますが、深い話題になるのでちょっと長めです。
ちなみに大前提として、各管理釣り場用にはハウスルールがあるため、今回解説している内容が一致しない管理釣り場もありますのでご注意ください。
管理釣り場用のルアーとは?

ネイティブトラウト用ルアーの一部を流用することもできますが、根本的に、ネイティブ用とエリアトラウト用は別物として設計されています。
例えばスプーンはネイティブでもエリアでもよく使われるルアーですが、こと渓流においては川の流れの中で、リアクションバイトを狙って動かしながら使いますよね。
対してエリアトラウトでは、流れがほぼない状況で、ゆっくりルアーを見せるためにスローで巻いて動くものでなければいけません。
これはスプーンの例ですが、ほかのルアーも基本的な考え方は同じです。
なぜ管理釣り場では、渓流で主流のミノーではなくクランクが主流なのかも「スローな動きに強いから」という話で説明が付きますね。
つまり、エリアトラウト用のルアーに共通する特徴としては、ネイティブ用に比べると、総じてスローで泳がせてもしっかりスイムアクションが出るもの、というわけです。
もちろんそのスローにもファストスロー、デッドスローなど微妙な違いがあるので、それに合わせてルアーのチョイスも必要になります。
管理釣り場用ルアーの「6要素」
管理釣り場で意識する要素は様々あります。
基本は4つの要素と言われていますが、筆者が釣る中では6つの要素があるのでは、と考えています。
ルアーを選ぶときにその要素を意識するのはもちろん、ルアーの特性もその6要素に当てはめてチョイスするのが有効です。
すべて解説するととんでもない情報量になるので今回はさらっとですが、非常に重要なので、おおよそのイメージを掴めるように解説しますね。
重さ
重さは投げやすさだけでなく、様々な要素でチョイスするべきポイントです。
例えば重いスプーンの場合、風の影響が受けにくく、遠投もしやすいですが、沈みやすいのでレンジをキープするためには少し早く巻かないといけなくなりますよね。
早く巻くと、やる気のない魚は無視しやすいため、渋い状況では釣れにくくなります。
そのため環境的な要因と、魚の反応を見ながら適切な重さをチョイスする必要があります。
もちろん、クランクやミノーとなるとまた話は変わってきます。
ルール上、ルアーの重さに縛りもあるので、その範囲で重さによる影響を考えながら選ぶのも難しさですね。
シルエット(サイズ)
ルアーのサイズも、様々な要因を踏まえて考えなければいけません。
例えば大きければ目につきやすくアピール力は強いですが、小さいルアーのほうが「これ口に入りそう」と思う魚は多くなります。
逆に、魚が掛かった時のことを考えると、管理釣り場では細いラインを使うので、飲まれたときにラインが歯に当たって切れるため、飲まれにくい大き目を使うこともあります。
ルアーの重さとシルエットにはある程度比例しますが、小さめのシルエットで重めのもの、またその逆もあるので、重さとシルエットのバランスを考えて選びましょう。
レンジ
管理釣り場はほぼ止水なので、層によって水温が変わりやすく、魚は好みの層を選んで泳ぎます。
走行高活性でなければレンジが外れるとほぼ釣れないので、最も意識するべきポイントと言っていいかと思います。
なのでレンジを合わせることは重要なのですが、ルアーの作りによって、おおよそ泳ぎやすいレンジは決まっています。
スプーンでも同じ重さでディープ(底付近)用、シャロー(水面付近)用がありますし、そもそもルアーの種類によっても得意不得意があります。
たとえばクランクは一般的に浮くので、表層付近を泳がせやすいですよね。
レンジが合わないとほぼ釣れないというシチュエーションも多いので、レンジを意識したルアーチョイスは非常に重要です。
カラー
管理釣り場を本気で楽しむ方は、観音開きでルアーをベラッと用意している人も多いですよね。
これはルアーの種類が多いだけでなく、色による影響も大きいからで、同じ種類の同じルアーでも様々な色を用意するからです。
例えば、このレンジでこのアクションで反応は良いけど食いきらない、という場合に、色だけ変えると食いついてくるようなことがあるのです。
さらに、微妙の色の濃淡や組み合わせでもその反応が変わるので、色の選択肢を多く持つのが基本になっています。
スイムアクション
ルアーの持つスイムアクション(リトリーブだけで出るアクション)にはいくつか種類があり、それによっても魚の反応が変わります。
大きく分けて2つのアクションがあり、お尻を振るような泳ぎの「ウォブリング」、旋回するような泳ぎの「ローリング」、その2つの要素を併せ持つ「ウォブンロール」があります。
一概には言えませんが、基本をいうのであれば、筆者の場合はウォブリングはアピール、ローリングは食わせと使い分けています。
さらにはそのアクションがどれぐらいのスピードでリトリーブしたときに出るのかも重要です。
巻きスピード
スイムアクションにも関係するのですが、どれだけのスピードでルアーを泳がせたときにアクションが出るのか、これは結構シビアにルアーごとに違います。
例えば低活性でゆっくりルアーを見せたいときに、ゆっくり巻いても泳がないルアーではアピールしにくいですよね。
逆に、活性が良く早めにルアーを巻いて食わせたいとき、早巻きしてアクションが崩れるルアーも使いにくいです。
そのルアーがどのぐらいのスピードでアクションを出し、どれぐらいのスピードになると乱れるのか、しっかり意識して使うことが重要です。
管理釣り場で使われるルアーの種類
ここが今回一番書きたかった部分でもあるのですが、管理釣り場と言えばスプーン、というのは間違いないものの、これだけの情報で挑戦すると、初心者の方はなかなか厳しい現実が待ち受けています。
ほかの使えるルアーのほうが釣りやすいものがあるのも事実なので、具体的にどういった種類のルアーがあり、どういう特徴があるのか解説したいと思います。
スプーン

管理釣り場と言えばスプーンですが、これにももちろん理由があります。
管理釣り場では6つの要素を意識してルアーを選ぶと解説しましたが、スプーンはその6つの要素を様々な形で意識したモデルがたくさんあります。
しかも1つあたり500円前後と安いので、この状況用のスプーン、あの状況用のスプーン、という形で用意しやすいため、本格的に管理釣り場をやるうえで非常に有効になりますね。
ただし、それぞれの特性を理解して使い切らなければいけないのも事実で、初心者の方がそれを理解しない打ちからスプーンを使うと「なぜか釣れない」という感覚に陥るのも事実です。
管理釣り場で有効なルアーなのは間違いありませんが、やや頭を使いながら使わなければいけない難しさがあるというわけです。
クランク

クランクは基本的には水に浮いて、巻くことで沈む特性があります。
実は初心者の方の場合、クランクはスプーンよりも釣りやすいルアーとも言われています。
スプーンは様々な要素を理解して使わなければいけませんが、クランクはもっとシンプルです。
巻きスピードに応じたレンジさえ意識すればアピールすることは可能なので、あとは色がマッチすれば釣る条件は整います。
ただその分スプーンに比べると細かい状況には対応しにくいので、クランクでは釣れないという状況があるのも事実です。
ミノー

渓流トラウトでよく使われるミノーですが、基本的には管理釣り場でも使えるルアーです。
ただし使えるシチュエーションは、スプーンやクランクよりも狭まります。
ミノーのメリットはロッドアクションを付けられることですが、基本的には管理釣り場の魚はロッドアクションを付けてもなかなか反応を得られません。
またスローで泳がせる場合はクランクよりも泳ぎにくいため、あえて使う状況はあまりないのです。
唯一、アクションへの反応がいい若いヤマメなどを中心にした管理釣り場であれば、スプーンやクランクよりも釣りやすい場合もあります。
スピナー

スピナーはブレードの回転によるフラッシングと波動で魚を寄せるルアーで、渓流でもよく使われますが、管理釣り場でも状況が合えば初心者にも使いやすく、よく釣れるルアーです。
具体的には魚の活性が高いシーンでは、高いアピール力が大きな武器になるのです。
巻くだけでアピールできますし、しかもシルエットが小さくても重さがあるので、初心者の方でもキャスティングしやすいメリットもあります。
ただし遅く巻くと沈んでしまうなどのデメリットがあるため、状況がスピナーにマッチしないと無反応ということもあります。
正直そんな高活性のシチュエーションは放流直後ぐらいでなかなかないのですが、スプーンのように何個も用意しなくても釣れるので、2,3個忍ばせておいてほしいルアーです。
バイブレーション
バイブレーションも魚の形をしたルアーですが、アクションの性質が少し独特です。
名前の通り、バイブのような細かい波動を出す作りになっていて、基本的にはその波動で魚にアピールします。
基本的にはボトム付近を中心に釣る場合におすすめのルアーで、さらに沈む特性を生かして上下の動きで誘いをかけることも可能です。
ただ筆者はあまり使いこなせていないので、あまり細かく語れないジャンルでもあります。(ごめんなさい)
初心者向け管理釣り場用ルアーの選び方
なんかもう大体答えを書いてしまった気もしますが、最後にまとめとして、初心者は具体的にどうルアーを選べばいいのか解説します。
あくまで最初の一歩としての買い方になるので、最初から本気でやりたい、という場合はちょっと考え方が違うのでご了承ください。
クランクを中心に用意する
管理釣り場行こうと思うと、どうしてもスプーンをたくさん用意したくなりがちですが、やっぱりスプーンの特性を理解するのも大変ですし、十分釣れる手数をそろえるのも少し難しいのが事実です。
なのでスプーンはサブ的に用意しておいて、メインはクランクにするのがおすすめです。
単価はちょっと高いですが、スプーンほど何種類も必要ないですし、本格的にスプーンをやるよりは予算も抑えられるかなと思います。
クランクにしたってそもそもどれ選べばいいかわからんという場合は、TIMON(jackal)さんから、クランクとスプーンがセットになった「コンフィーパッケージ スターターキット」というのが3種類あるので、これから始めるのもおすすめです。
さすがにこれだけでいつ何時も釣れるというわけではありませんが、クランクを2つ含む5個セットで3,000円弱とお手頃ですし、結構ちゃんと釣れるルアーで構成されています。
サイズは小さめから
大きいものがだめというわけではありませんが、やはり対応できる状況の広さでいえば小さめが有利です。
スプーンでいえば長さ2cm、重さ2g程度のものを中心に、補助的に大き目のものを用意していくのがいいでしょう。
クランクに関しては、全長3cm程度であればアベレージサイズに十分使えます。
これもTIMONさんのコンフィーパッケージ スターターキットなら、アベレージサイズにちょうどいいサイズが入っています。(TIMONの回し者ではありません)
カラーは地味系を中心に
本来であれば、ルアーのカラーは幅広く用意するのがおすすめですが、正直色をそろえるのが一番お金かかるので、まずは限定して用意するといいでしょう。
そのうえでアピール系と地味系どちらを中心にしたほうが良いかを考えると、地味系を中心にしたほうが釣果に繋がりやすいです。
基本的に、アピール系が効くシーンは濁りのある場合と活性が高い場合で、地味系が効くのはそれ以外のシチュエーションです。
加えていえば、高活性なら地味系のカラーでも釣れないことはないんですよね。
つまりどちらを優先するかと言えば、地味系のほうが使える状況は多いので、地味系からがおすすめというわけです。
というわけで
今回はエリアトラウトのルアーについて、初心者の方向けに解説しました。
エリアトラウトのルアーの考え方はめちゃくちゃ奥深くて、今回これだけ長々書いてもまだ語り足りていないです。
とりあえず最初の一歩として必要な知識を解説しましたが、少しは理解していただけたでしょうか…(私のまとめ力が足りなくて伝わっているか心配です)
今後も少しずつ紹介して行こうとお思いますが、より奥深いルアー論を知りたいという場合は、YouTubeでAngling Fanのチャンネルをチェックしてみると、かなり本質的な部分まで触れられるかなと思います。
というわけで今回はこの辺で。エリアトラウトのロッドやリール、ラインについても解説していますので、興味のある方はそちらもチェックしてみてくださいね。