山などを流れる川で、ヤマメやイワナなどを釣る渓流釣りは、釣り未経験の方にもよく知られた釣りでしょう。
その渓流釣りには、いくつかの釣り方があるのをご存じでしょうか?
渓流の釣りは難しいイメージもありますが、釣り方や使う仕掛けによっても難易度は大きく変わります。
今回は渓流釣りに興味を持った初心者の方に向けて、渓流で使える釣り方4種類をやさしく解説します。
渓流釣法①餌釣り(ミャク釣り仕掛け)
生の餌を使って、魚に針を食わせる釣り方です。
餌釣りにも種類がありますが、渓流での主流は「ミャク釣り」という仕掛けになります。
釣りといえばリールを使うイメージがあるかと思いますが、ミャク釣りにリールは使用せず、シンプルな道具で楽しめます。
ルアーなど疑似餌を使った釣りよりも難しい操作がなく、魚からの反応も良好です。
初心者の方が「とにかく魚をキャッチしたい」と思うなら、ミャク釣り仕掛けの餌釣りから始めてみるのがいいでしょう。
初心者向け餌釣り(ミャク釣り仕掛け)の道具

- 渓流竿(3~6m前後)
- 天井糸(※なくてもOK)
- 道糸(ナイロン・フロロ0.3~0.6号程度)
- 針(ヤマメ針5~8号)
- ガン玉(3~3B)
- 目印(※無くてもOK)
- 餌(ミミズ・ブドウ虫・現地採集など)
合計予算…5000円前後~
※新品定価のイメージ
初心者へ餌釣りのアドバイス
竿選びについて
竿の長さは3.3~3.6mが汎用性が高いので、最初の一本におすすめです。
よく行く川の幅に合わせて、仕掛けが届かないようならもう少し長いもの、長すぎて使いにくいなら短いものを買い足すといいでしょう。
完成仕掛けがお得で楽
仕掛けはバラで買って組み立てるのもいいですが、最初はすべて組みあがった「完成仕掛けセット」を選ぶといいでしょう。
針のサイズ(号数)は、予備も踏まえていくつか用意しておくのがおすすめです。
餌の選び方
使う餌は、こだわらなければミミズが安価で釣りやすいです。
ただし、小さい魚にはミミズの先っちょだけ食われることがあるので、ブドウ虫やサシ虫も使ってみましょう。
渓流釣法②ルアーフィッシング
小魚などを模したルアーを使って魚を釣る方法です。
老若男女に人気で、昨今の渓流釣りでの人口は最も多い釣法と言えるでしょう。
このため道具も様々あり、昨今中古品も豊富なので始めるハードルは低くなっています。
反面、道具選びやルアーチョイス、ルアーのキャスティング、ルアーのアクションなどある程度知識と技術も必要です。
そこから生まれるゲーム性も魅力で、釣りを奥深く楽しみたいなら、ぜひルアーフィッシングに挑戦してみましょう。
初心者向け渓流ルアー用の道具

- ネイティブ用トラウトロッド(5~6ft前後 ULクラス)
- スピニングリール(2000番 ハイギアモデル)
- ライン(ナイロン4~6ポンド)
- スナップ(00~0番サイズ)
- ルアー(ネイティブトラウト用ミノー・スプーン・スピナー)
合計予算…17,000円程度~
※新品定価のイメージ
初心者へルアーフィッシングのアドバイス
ポイント選び>>>道具
餌が魚を引き寄せる餌釣りとは違い、ルアーは魚がたくさんいる場所でないと釣りにくいです。
高級な道具を買うよりも、まずはポイント探しを意識するようにしましょう。
安すぎるロッドに注意
最近、2,000円程度のトラウトロッドが流行っていますが、初心者の方にとって使いやすいとは言えません。
しっかりした作りのネイティブ用トラウトロッドは、定価でおおよそ8,000円前後からなので、中古で探すときもそのクラス以上のものを選ぶと安心です。
スピナーは初心者の味方
トラウト用ルアーは種類豊富ですが、はじめのうちはスピナーから始めるのがおすすめです。
魚が居そうな場所に投げて巻くだけで釣れるので、ルアーにアクションを付ける難しさがありません。
慣れてきたら、スプーンやミノーにも挑戦してみましょう。
渓流釣法③フライフィッシング
イギリス発祥の釣り方で、虫に似せたフライ(毛鉤)を使う生粋のスポーツフィッシングです。
一般的な釣りとは違い、仕掛けを投げるのではなく、ラインを飛ばして仕掛けを送り込む独特なキャスティング技術が必要です。
道具も独特でほかの釣りに比べるとハードルは高いですが、使うフライは精巧で美しく、フライキャスティング自体に奥深さもあり、根強い人気があります。
実は毛鉤はルアーよりも釣りやすいので、キャスティングのハードルを越えれば、ルアーより釣果が期待できるメリットもあります。
フライを作る「タイイング」にも面白さがあるので、工作が好きな方にもおすすめです。
初心者向け渓流フライフィッシング用の道具

- フライロッド(7.6ft~8ft前後 #4~5)
- フライリール(ロッドの番手に合わせたフライラインが巻けるもの)
- フライライン(ロッドの番手に合わせたフローティングライン)
- リーダー(6X9ft)
- ティペット(6X)
- バッキングライン(20ポンド)
- フライ(14番前後)
- フロータント(ドライフライの場合)
- フライドライ(ドライフライの場合)
合計予算…25,000円前後~
※新品定価の場合
初心者へフライフィッシングのアドバイス
セットものがオススメ
フライフィッシングのタックルは、使うフライラインの番手に合わせて揃える必要があります。
ロッドやリールなどバラ売りのものもありますが、最初はセットで売られているものがおすすめです。
アキスコ、ティムコ、CAPS、ECHOなどのメーカー品であれば、まず使えないと言うことはありません。
本流域から始めよう
フライキャスティングはラインを振り回す形になるので、日本の渓流や源流とは少し相性が悪いです。
まずは川が開けた本流域などで練習し、慣れたら渓流に挑戦するといいでしょう。
ラインのメンテナンスは抜かりなく
フライラインの状態はキャスティングへの影響が大きく、価格も高く交換にはコストがかかるので、メンテナンスが必要です。
使用後は乾かすこと、そしてフライドレッシングの添加なども定期的に行いましょう。
マッチザハッチを覚えよう
フライは魚を目視で騙す釣りなので、そのエリアのその時期に魚が食べている虫に似たフライを選ばなければいけません。
その考え方をマッチザハッチと言うので、その概念をざっくりと覚えてから釣りを始めると魚からの反応が変わります。
その中にも代表的なものがいくつかあるので、最初の内はそれらをそろえるといいでしょう。
渓流釣法④テンカラ
古くから日本の職漁師の釣法として引き継がれてきた、日本発祥の釣りです。
オモリを使わずラインを飛ばし、毛鉤を使うのはフライフィッシングと同じですが、竿にリールは付いておらず、使う毛鉤もフライほどの種類はありません。
そのため効率的に魚を釣ることに長けていて、日本の険しい渓流を釣り歩くのにも向いています。
比較的近距離での釣りになるため、魚を警戒させない所作が必要なことなど難しさもありますが、フライフィッシングに比べると始めるハードルは低い釣りとも言えます。
初心者向け渓流フライフィッシング用の道具

- テンカラ竿(長さ3.3~3.6m 7:3調子)
- テンカラライン(3.5~4号)
- ハリス(フロロカーボンライン0.8号前後)
- 毛鉤
合計予算…8,000円前後~
※新品定価の場合
初心者へテンカラのアドバイス
魚に警戒心を与えず川を歩く
テンカラは近距離で魚を狙う釣りになるため、魚を警戒させないことが非常に重要です。
どんなにいい道具を使って、キャスティングが上手でも、魚を警戒させると途端に釣れなくなります。
川に近付くときはもちろん、渓流釣りでは川の中を歩きながら釣ることも多いので、この時も水音を立てずに移動しなければいけません。
渓流域におすすめ
フライフィッシングと同じく、テンカラもラインを振り回してキャスティングしますが、テンカラは別な問題で本流よりは渓流に適した釣り方と言えます。
フライは精巧に虫に似せるのでゆっくり流れても騙せますが、一般的なテンカラの毛鉤は非常にシンプルです。
なので、魚が偽物だと気付きにくい、ある程度流れが速く入り組んだ渓流域での釣りに向いているのです。
もちろん、キャスティング練習で本流に投げてみてから渓流に挑戦するのもいいでしょう。
フライフィッシングのフライもおすすめ
伝統的にテンカラに使われる毛鉤は「順毛鉤」、「逆さ毛鉤」、「普通毛鉤」の3種類です。
ですがフライを代用できないわけではなく、個人的にはむしろ使うべきだとすら思います。
テンカラの手返しの良さに、より騙しやすい精巧なフライを組み合わせれば、近距離の釣りでは非常に釣りやすくなるのです。
12番程度のフライを選ぶか、ダイワからテンカラ用にフライパターンの毛鉤が売られているので、そういったものを使うといいでしょう。
まとめ:自分に合う釣り方で渓流を楽しもう!
紹介したように、釣り方は大きく分けて4種類に分けられ、どれも素晴らしい釣りであるのは間違いありません。
筆者はどれも捨てられず、川に行くといつもどの釣りをしようか迷っているほどです。
しかし、それぞれ釣りやすさや道具の予算も違います。
興味がある釣りがあればそれぞれよく調べてみて、ぜひその釣り方で渓流釣りに挑戦してみてくださいね。