渓流で釣れないのはルアーの種類が原因?渓流ルアーの使い分け術

トラウト・渓流

渓流ルアーフィッシングは近年とくに人気の釣りスタイルですよね。

しかし、その流れに乗って挑戦してみても、想像以上に釣れずに悩んでいる方も多いようです。

一つの原因にルアーの豊富さがあり、使い分けがうまくいっていない場合も見受けられます。

そこで今回は、渓流用ルアーの基本的な使い分けについて解説してみようと思います。

マッチザベイトだけじゃない渓流の釣り

渓流の代表的な釣り方にフライフィッシングがありますが、フライのチョイスはマッチザベイトが非常に重要です。

なので、渓流魚はベイトに合わせたルアーチョイスが重要というイメージがあるかもしれませんが、実はむしろ渓流魚はベイトにかかわらず釣れるのも事実なのです。

ルアーチョイスにも関係する、渓流魚の食性に少しふれておこうと思います。

渓流魚の好みは「小魚<<<虫」

渓流ルアーと言えばミノーが一般的になり、「渓流魚は小魚を食べるのだろう」というイメージが強い方も多いでしょう。

しかし、渓流魚を多くさばいた経験からすると、お中から小魚が出てくることは稀で、ほとんどが虫であることがわかります。

イトウは小魚を積極的に捕食するといわれていますが、ニジマス、ヤマメ、イワナに関しては、9割以上の個体で胃から小魚が見つかりませんでした。

地域性もあるのかと思いましたが、DAIWAのフィールドテスターで、大学で魚の研究もしていた小林将太さんも同じことを言っていたのを聞いて、確信につながりました。

捕食本能にスイッチを入れるのがルアー

ではなぜ本来あまり食べない小魚を模したルアーで釣れるのか、それは本能的に追ってしまう動きをするからだと考えられています。

小魚も貴重なたんぱく源なのに食べないのは、おそらく共食いを防ぐ本能的なものかと思いますが、ヤマメもイワナもサクラマス、アメマスになると小魚を積極的に追うので、小魚を捕食する本能はあるのでしょう。

なので、渓流魚がルアーに食いつくのは、猫がねこじゃらしを捕まえようとするのに近い感覚なのではと思います。

食べ物としては認識していなくても、反射的に追いかけてしまうのがルアーで釣れる理由である可能性が高く、そういった認識が一般化してきました。

動き・波動・フラッシング

ではなにが渓流魚に本能のスイッチを入れるのかというと、ルアーの動き・波動・フラッシングの3つが大きいファクターになると考えられます。

どれも獲物が発するものなので、それをより強烈に出すことで、渓流魚のスイッチを入れられると考えられ、ルアーもそれらを重視して作られています。

つまり、この3大要素を考えてルアーチョイスすることで、より釣果につなげることができるというわけですね。

今回はその3大要素をもとに、各ルアーの強みと欠点、そして使いどころなどを解説していきます。

スピナー

渓流ルアーを楽しむ人に「最も釣れるルアーは?」と問うたときに、最強のルアーとして挙げられることが多いのがスピナーです。

オモリにシャフトを通し、ブレードとフックを装備したルアーで、とても魚が食べるものとは思えない見た目ですが、実際よく釣れるのは間違いありません。

ではその理由は何なのか、上記した論理からひも解いてみようと思います。

波動+フラッシング

スピナーが魚にアピールする要素は、ブレードが回転することによる波動、そしてブレードが光を反射して煌めくフラッシングです。

ブレードが回転して初めてアピールする関係上、動きは付けにくく、アクション自体は単調ですが、リトリーブで生まれる強い波動とフラッシングは確実に渓流魚のスイッチを入れてくれます。

上記した渓流魚がルアーに食いつく論理を裏付けているのも、スピナーが釣れるルアーだからとも言えますね。

一度実験でよく釣れるスピナーのブレードを塗ったことがあったのですが、とたんに釣れなくなったので、波動+フラッシングというのがスピナーが魚に魅力的に見える要素であることもわかります。

もちろんブレードのカラーが視覚的に有効な色であれば、それはそれで効果的でもあります。

初心者でも釣れるルアー

スピナーは、ただ巻いてくるだけで波動とフラッシングで魚をだませるので、端的に言えば何もしなくても釣れるルアーです。

むしろ下手なアクションはその2つの要素をなくすことになるので、むしろ「何もしないべきルアー」とも言えます。

もちろん使えるシチュエーション、使えないシチュエーションがあるので使い分けは必要ですが、初心者はまず試してみるべきなのがスピナーでしょう。

泳がせられないエリアでは使えない

スピナーが良く釣れるのは間違いないのですが、それはあくまでブレードが動くことで波動とフラッシングが生み出せる状況に限ります。

例えば水深が浅い場所ではそこに擦ってしまいますし、流れが入り組んだ場所でも水の抵抗をきれいに正面から受けられないのでブレードが回らず使いにくいです。

昨今の渓流は年々魚影が薄くなっているので、むしろそういった釣るのが難しい場所を攻めることが多く、スピナーの利点が生かせないのがスピナーがミノーにシェアで劣る理由なのかなと思います。

スプーン

一昔前の渓流ルアーと言えばスプーンのイメージがあったように、スプーンは渓流で有効なルアーです。

構造もシンプルで値段も安く、初心者の方が一見すると、種類が豊富なのでお店で魅力的に見えるルアーでもあるかもしれません。

ただ昨今の渓流釣りの主流かと言われるとやや疑問符が付きます。その理由を考えてみましょう。

動き+フラッシング

スプーンが釣れる要素としては、動きとフラッシングがあげられます。

スピナーはブレードが回らないと役に立ちませんが、スプーンはそのブレードが単体で泳いでいるようなイメージになので、回転運動ではありません。

なので、簡単なアクションがつけられるというのが武器の一つです。

フラッシングについてはもちろん塗装にもよりますが、根本的に素材が金属なので、その反射を生かしたカラーが多くなっています。

使えるレンジが幅広い

渓流というのは上に行けば行くほど入り組んだ地形になるもので、そこではスピナーが使いにくくなります。

しかしスプーンはあまり地形に関係なく、例えば川底を転がすように動かしてもアピールできますし、レンジが広いなら上下の動きも使えます。

スピナーは使いにくい落ち込みやプールのような狭いエリアでも、スピナーより使いやすいでしょう。

基本的なスイムアクションはヒラヒラと旋回するような動きなので、むしろロッドアクションなどで動かしたほうがアピール力は高いです。

スピナー・ミノーに比べると各要素が劣る

ではなぜあまり使われていないのかというと、特化した性能で考えると、スピナーやミノーのような強い要素が生かせないというのがあります。

波動やフラッシングに関しては、まっすぐ泳いでいるスピナーに劣りますし、動きの自由度はミノーに劣ります。

だから釣れないとは単純に比較できないのですが、ある意味シンプルだからこそ扱い方が重要になるルアーとも言えるでしょう。

ミノー

昨今の渓流ルアーフィッシングのトレンドともいえるのが、ミノーを使ったスタイルでしょう。

気付けば新作が出ている状態で、業界も力を入れているのがわかりますね。

しかし使いきるのが難しく、初心者が一朝一夕に釣れないというのも事実でもあります。

ではミノーはどういった要素をどう生かして釣るのが有効なのか考えてみましょう。

アクション・波動・フラッシング

ミノーの種類は多岐にわたり、単純にミノーの特性がこれとは言い切れないのですが、単純に言えばミノーは3要素のどれも生かして釣ることができます。

まずミノー最大のメリットがアクションによるアピールを有効に使えることで、ロッドアクションあってこそと言っても過言ではありません。

そしてリップで水を噛んで泳ぐので、リトリーブだけである程度波動も生かせます。

アルミを貼ったモデルならフラッシングも生かせますし、どの要素をどのように使うか、ユーザー側の自由度が高いルアーとも言えます。

ミノーで釣れない魚がミノーで釣れる

スピナーやスプーンは、それで釣れない魚は釣れないで終わりますが、ミノーはこのモデルでだめでもこっちのモデルで釣るというのが可能です。

泳ぎ一つとっても、ローリング系とウォブリング系、フローティングとシンキング、横の動きを生かすダート系など様々です。

もちろん同じルアーのアクションを変えることでも反応が変わります。

それをどこでどう使うかで全く魚の反応が変わるので、ミノーだけで勝負が可能になります。

ルアーフィッシングを遊びとしてとらえた時に、極める楽しさのようなものがあるのもミノーの魅力と言えるでしょう。

極めるまでが結構大変

そんな心強くて楽しいミノーですが、使いこなすハードルはスピナーよりも高いです。

スピナーはしっかり動いているのが手に伝わりますが、ミノーはこちら側から動かすので、正解が見つかりません。

この動きが魚に効くのかどうか、それは釣果を伴う経験でしか判断できないので、まったくセンスがなくて1匹が取れない状況だとドツボにはまります。(管理人が経験者です)

バイブレーション

あまり使う人はいないのですが、バイブレーションも渓流用ルアーのラインナップの一つです。

製品ラインナップ的にも少ないのですが、個人的には選択肢の一つとしては気に入っていて、ルアーケースの中に忍ばせています。

では具体的に渓流ではどう働くルアーなのか、簡単に説明しておこうと思います。

波動+アクション

バイブレーションは、背中側で水を受けて小刻みに振動する、つまり波動を起こすルアーです。

また魚型をしていることでスピナーよりもアクションの幅が広く、軽いトゥイッチやジャーキングにも対応します。

あとはウエイトがまとまっていることで、縦の動きも生かしやすく、その点スピナーに勝っているといってもいいかなと思います。

もちろんカラーによってはフラッシングも生かせます。

スピナーで釣り切れない魚に

正直、スピナーが使えるシチュエーションで比較するとスピナーのほうが釣れるのですが、その条件から外れた場合にバイブレーションのメリットが活きてくるのではと思っています。

例えばスピナーのリトリーブだけでは見切られてくるときに、バイブレーションであれば横の動き、縦の動きを交えて魚を見切らせないことも可能になります。

リアクションバイトもスピナーより狙いやすく、またリトリーブでのバイトもミノーより多いので、個人的には初心者にスピナー+バイブレーションでルアーケースを構成して欲しいほどです。

使えると思えるシチュエーションが狭い

バイブレーションには紹介したようにメリットも多いのですが、残念ながら渓流においてそれが生かせるシチュエーションがあまり見当たらないというのも事実です。

泳がせる前提で広い場所、そして深みが必要ですが、そうなればスピナーや他のルアーで釣ることもできるでしょう。

つまり二番手三番手的な選択肢に落ち着いてしまうので、あまり使われないのかなと思っています。

というわけで

今回は渓流ルアーの種類とその使い分けについて紹介しました。

結構漠然と使い分けている方も多いのですが、結構この違いを理解するだけでもどう釣るのかが見えてくるので、釣果も変わってくるのではと思います。

細かい使い分けは実際使う人のセンスにもよるのでどれが最強というわけではなく、とりあえずミノー全盛期であるからミノーというような選び方も少しもったいないかなとも思います。

結局どのモデルがいいのかというのはまたおいおい紹介していきますので、興味のある方はまた次回以降の更新をよろしくお願いします!

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