渓流ルアーフィッシングは古くから親しまれている釣りですが、長い歴史の中でも最近大きな変化がありました。
それは、使われるルアーの種類の違いで、最近は業界的にも圧倒的にミノーを推すようになっています。
新製品もどんどん発売され、SNSでもミノーを使った釣果が占めていますよね。
しかし実は渓流魚の食性からすると不適合なのも事実で、初心者の方はなかなか釣りにくいのも事実です。
というわけで今回は、渓流ルアーのトレンドでもあるミノーについて解説していこうと思います。
渓流ルアーにおけるミノーとは?

ミノーは簡単に言えば小魚という意味で、ルアーとしてのミノーも、魚の餌となる小魚を模したものを指します。
一般的には、魚の模型のようなボディに、水を受けるためのリップが付いています。
ボディ・リップそれぞれが水を受けることでまるで魚が泳ぐようにアクションを生み出し、魚にアピールします。
ルアーの持つアクションにはウォブリング、ローリングがあり、これも魚の好みが分かれる部分です。
また、魚が泳ぎまわるようにロッドアクションで意図的に動かすことでもアピールし、これはミノーで魚を釣り上げるときの重要なポイントになりますね。
渓流トラウト用としては、大きくても6㎝、小さくても3㎝程度の小型のものが中心です。
着水時は浮いていて、泳がせることで沈ませるもの(フローティングミノー)、沈むものがあり(シンキングミノー)、状況に応じての使い分けが必要です。
ミノーでなぜトラウトが釣れるのか?
ではミノーでなぜトラウトが釣れるのか、その魅力を解説していきます。
実は初心者の方が思っている理由と魚からの見え方が違ったりするので、より効果的に使うために、ミノーで釣れる理由を改めて確認しておきましょう。
リアクションバイトを誘発しやすい
実は渓流の魚がルアーを食べるのは、捕食のためではないというのが通説になっています。
渓流のトラウトは小魚を食べることは稀で、そもそもミノーを餌として認識しているわけではないというわけです。
では、なぜ本来あまり食べないはずの小魚に似たミノーに食いつくかというと、反射的に食いついてしまう、リアクションバイトが理由ではという説が有力です。
ミノーはその特性から、リアクションバイトを起こしやすいのが釣れる最大の理由だと考えられます。
アクションの自由度が高い
なぜリアクションバイトを起こしやすいか、それはミノーがアクションを出しやすいことにあります。
ミノーは、スプーンやスピナーなど、ほかの渓流用ルアーよりもアクションの自由度が高いです。
トゥイッチなど細かいロッドアクションへの反応がよく、ピョンピョンと泳がせることができますよね。
これがまさに渓流魚の本能を刺激し、まるで猫がねこじゃらしに飛びつくように口に入れてしまうというわけです。
種類が豊富で使い方が無限大
ミノーには、シンキング、フローティング、ローリング系、ウォブリング系などなど、それぞれの組み合わせで特性が様々で、種類が豊富です。
使いやすいポイントによっての使い分けもありますが、状況や魚のやる気によって、魚からの反応も変わります。
これによって攻め方のバリエーションが無限にあり、例えば一つ目のミノーで釣れなかった魚が、別なミノーで釣れるということがありえるのです。
これがミノーを使うメリットでもあり、面白さでもありますね。
ミノーのデメリット
もちろんどんなに工夫しても、ミノーで釣れない場合も多々あります。
ミノーには弱点もあるので、そこを理解してほかのルアーと使い分けて釣果につなげましょう。
アクションを付けないと効果が半減
渓流においてはスピナーが非常に効果的で釣りやすいルアーと言われています。
これはスピナーがタダ巻きでも十分釣れるからで、ミノーはそうもいきません。
ミノーのタダ巻きで渓流魚が釣れることは稀なので、ロッドアクションでルアーをアピールしてリアクションバイトを引き起こす必要があります。
しかしアクションの正解というのは釣れてこそわかることです。
アクションを付けることによって魚がミノーに食いつけず、釣れないという状況が水中では多々起こっているのです。
初心者の方が、渓流魚が反応しつつ食いつけるミノーのアクションの感覚を掴めずに釣れず悩むことは、渓流ミノーイングの通過儀礼と言ってもいいかなと思います。
浅い場所に弱い
ミノーはレンジキープが難しく、特にレンジを調整する余地のない浅い川では使いにくいです。
しかも泳がせられるスペースがないとアクションで誘えないので、浅い渓流でのミノーイングは厳しいと言っていいでしょう。
落ち込みのプールのように、狭くてもある程度水深があればむしろミノーの出番ともいえるので、ここら辺は経験を積んで使いどころを選んでいきたいですね。
値段が高い
ミノーは渓流用ルアーの中でも価格が高く、1000円以下のものはほなかなかありません。
スプーンが500円前後、スピナーはそれ以下と考えると、なかなかコスパの悪いルアーです。
ロストを恐れてポイントに打ち込めないと釣果も望めないので、スプーンなど安いルアーでキャスティングを鍛えてから使うのがおすすめです。
ミノーの釣り方・使い方
ルアーにはそれぞれの使い方があり、適した使い方でなければ釣れるルアーも釣れなくなってしまいます。
では渓流でのミノーはどのように使うと釣れるのか、ポイントを覚えておきましょう。
ポイントにあったミノーをチョイス
まずは、釣るポイントにあったミノーを選ぶことが重要です。
浅い場所であればフローティング、深い場所であればシンキングなどの基本的なことから、水噛みのバランスを考えて水流に合わせるなど、使い分けは様々です。
慣れれば技術で補えますが、慣れていないうちこそルアーの能力に頼った釣りが重要になりますね。
ここについては今後細かく解説していきますので、とりあえずミノーは使い分けが大事ということは覚えておきましょう。
魚のいそうなポイントに落とす
ミノーは正直そこまで集魚力がないので、魚のいるポイントを見極めて打ち込むことが重要です。
餌釣りやスピナーなら匂いやフラッシングで広くアピールできますが、ミノーではなかなかそうもいきません。
一投目で寄せて二投目で釣るなども可能ですが、そう簡単ではありません。
ミノーイングで釣るなら、魚が良そうなところを見極め、一投一投丁寧に探るのがいいでしょう。
魚の反応を見ながらアクション
ロッドアクションはミノーイングの醍醐味ですが、正解が見えないですよね。
大事なのは魚の反応を見ながらアクションを付けることで、一辺倒では釣れないまま終わってしまうこともあります。
幸い渓流ではそこまで遠投せず、水もクリアなことが多いので、魚が自分のルアーにどう反応しているか見ながら調整していくことも可能ですよね。
例えばルアーに興味は持っているけど食いきれないなら少しアクションを穏やかに、逆ならもう少し大きくアピールするなど、意識して魚の反応を見るようにしましょう。
これは買うべき!おすすめ渓流用ミノー
【ラパラ】カウントダウン CD5
渓流で個人的に一番好きなのが、ラパラのカウントダウンです。
プラスチック(インジェクション)が主流になった現代では珍しく、バルサという木材を使ったルアーで、そこから生み出すアクションはトラウトにピッタリです。
これから渓流に挑戦するなら1つは持っておいてほしいルアーなので、その魅力をご紹介します。
ハイレスポンスでハイアピール
バルサミノーの特徴は、アクションのレスポンスが良く、いわば高回転なアピールにあります。
バルサ自体が非常に軽い素材なので浮こうとする力が強く、姿勢が崩れた時にバルサの浮力によって早く起き上がり、回転数の高いアクションを生み出します。
これによってリトリーブ、そしてロッドアクションでのアピールもよく、フィッシュイーターを効果的に魅了できるというわけです。
カラーバリエーションが豊富
カウントダウンには長い歴史があり、その中で生まれたカラーはどれも魅力的で選択肢も豊富です。
トラウトではそこまでルアーの色は重視されませんが、やはり無関係ではなく、人間からの視認性も重要なので、カラーバリエーションが豊富なのはうれしいですね。
ちなみに、個人的にはSFCがおすすめです。
やや飛距離が劣る
カウントダウンの欠点は、シルエットのわりに比重が低いことです。
それによってアクションのレスポンスは上がっていますが、反面空気抵抗が大きく飛距離は望めません。
とはいえCD5は狙って投げられるのは頑張って15mというイメージなので、渓流では十分とも言えますね。
【イトウクラフト】蝦夷50S タイプⅡ
個人的に、自作のルアーに次いでキャッチ数の多いシンキングタイプのミノーです。
もっと言えば私のルアーはよく使っているからキャッチ数も多いだけで、実際キャッチ率でいえば蝦夷が圧倒的です。
ちなみに蝦夷(エゾ)と書いて「エミシ」と読みます。
実はこのルアーにはいくつかの種類があり、タイプⅡは中でもウエイトがあるヘビーシンキングタイプになっています。
にもかかわらず、ヘビーシンキングで犠牲になりがちな部分も補完され、非常に出来のいいルアーになっているので、その魅力をご紹介します。
切れのあるアクション
比重が大きいヘビーシンキングは水の抵抗でアクションが出にくく、リトリーブでのキレにかけるものが多くなります。
先に紹介したカウントダウンにキレがあるのは、逆に比重が低いからですね。
しかし蝦夷はヘビーシンキングにもかかわらずリトリーブでのアクションにキレがあります。
シルエットが小さいにもかかわらず重さがありキレがある、これが蝦夷50SタイプⅡの最大の売りと言えますね。
ヘビーシンキングの良さを生かしたキャスタビリティ
ヘビーシンキングのメリットは素早く沈むだけでなく、キャスタビリティにもあります。
重いとその分風の影響を受けにくくなりキャスタビリティが向上するというわけですね。
蝦夷はシルエットが細いことも相成って投げやすさがあり、ピン打ちしやすさも魅力です。
塗装が弱い
蝦夷に弱点があるとすれば、塗装の弱さでしょう。
この記事の中で掲載している写真も蝦夷なのですが、もうボロボロですよね。
同時期から使っているカウントダウンやDコンタクトはこんなことになっていないので、やっぱり蝦夷の塗装はちょっと弱い気がします。
この手のメーカーにしてはそこまで高くないので、アピールに影響が出るほどはげたら買い換えるのがおすすめです。
【メジャークラフト】ファインテール エデン EDN-45S
ミノーは比較的高いルアーで、しかも高いほうが釣れるというのも事実です。
その風潮に真っ向から対抗しようと、コスパのメーカーとしておなじみのメジャークラフトが立ち上がりました。
定価880円(税抜き)と破格で打ち出し、しかもよく釣れる。
サイズも豊富でウエイトの種類もありますが、中でも今回紹介するEDN-45Sは私の食指に絡まりまくりだったので紹介しようと思います。
メテオーラ並みに釣れる!?
昨今トラウト界隈で注目の的になっているミノーに、ジャクソンのメテオーラがあります。
実際かなり優秀なルアーではあるのですが、いかんせん高いし買い占めでなかなか手に入りません。
しかしこのエデンは、釣果自体はメテオーラに勝るとも劣らずとまことしやかにうわさされています。
実際EDN-45Sの特性はメテオーラに近く、同等に釣れても全く不思議ではありません。
むしろ安くて手に入りやすく、メテオーラより攻めた釣りがしやすいという点では勝っているといってもいいと思います。
シミーフォールでエブリタイムアピール
私も自作のルアーで重視している点でもあるのですが、フォールで揺れる、いわゆるシミーフォールの持つ意味は非常に大きいと思っています。
今回紹介しませんでしたが、ラパラのカウントダウンエリート、ウォーターランドのジャークソニックなど、釣れるといわれるミノーの多くにある特性です。
沈ませるだけで揺れてアピールするということはアクションを起こさない間がなく、常に魚が食いつく可能性を残せるというわけですね。
リップが弱い
エデン最大の弱点はリップの強度で、気を抜くとすぐに折れるんですよね。
形状の問題なのか素材の問題なのか不明ですが、かなりデリケートです。
ここだけなんとかしてくれれば渓流ミノー界の中心的存在になりそうなので、メジャークラフトさんにはぜひ頑張ってほしいポイントです。
というわけで
今回は昨今の渓流ルアーの中心的存在でもあるミノーについてのご紹介でした。
深く語ると長すぎて読みにくくなると思い、かなり割愛したのですでに知っていたという情報も多かったかもしれません。
しかしこれだけを知っているか知らないかだけでも釣果を左右しますので、今一度頭に入れておくといいかなと思います。
今後も詳細は拡充していきますが、とりあえず今回はこの辺で。次回更新もよろしくお願いします!