ニジマスは釣り堀などでもよく見かける魚で、自然河川でもかなり生息域を広げ、おなじみのトラウトになっていますね。
外来種ではありますが、もはやヤマメやイワナなどと肩を並べて日本の渓流を我が物顔で泳いでいますよね。
しかし基本的にヤマメやイワナとは違う性質があり、厳密には釣り方も変わります。
というわけで今回は、渓流釣りにおけるニジマスに特化した釣り方について解説していこうと思います。
ニジマスとは

パッと見てニジマスを認識することができる人は多いですが、厳密にどういった魚か知っている人は少ないでしょう。
ルアーで魚を釣るときは、何よりその魚について知ることが重要なので、ニジマスとはどんな魚か知っておきましょう。
外来種の大型トラウト
ニジマスは北米を中心に生息するサケの仲間で、基本的には外来種です。
世界記録では20㎏を超える個体が捕獲されたほど大きくなる魚ですが、国内でも70cmオーバーが釣られた記録もあります。
北海道なんかでは、少し田舎へ行けば50UPが当たり前なんてところも多いです。
海に居りて「スチールヘッド」と呼ばれることもありますが、日本では圧倒的に陸封型で大人になり繁殖する場合が多いですね。
ヤマメやイワナと習性が違う
ヤマメやイワナなど日本固有のトラウトとニジマスは、食性は近いものの、泳ぎの特性などが少し違います。
詳細は後々明らかにしていきますが、一言でいえば、ヤマメやイワナに比べると運動能力がやや低いのが特徴です。
その代わりにパワフルな泳ぎができ、いわばニジマスは助っ人4番バッタータイプとイメージしていただけるといいかなと思います。
また野球で例えると、助っ人四番バッターは変化球に対応するよりかは、ストレート系に強い傾向がありますが、ニジマスも実は近い傾向があります。
それによって微妙に釣り方も変わるので、具体的にどう違いどう釣るべきなのか解説していきますね。
ルアーで狙うニジマスの釣り方
上記したような特性によって、ルアーで釣るときにどうすればいいのか細かく解説していきます。
地域性などもあるかと思いますので、実際に釣る中でマッチしないと思った部分は工夫して調整していってくださいね。
パワー重視のベーシックなトラウトタックルを用意
ニジマスは、ヤマメやイワナに比べて泳ぎに俊敏さや滑らかさはありません。
一方でパワーは強く、かつ大型になりやすいことを踏まえると、ある程度パワーのあるタックルがおすすめです。
個人的には、ネイティブトラウト用ロッドでパワーはL、よく走ることを考えるとPEよりはナイロンラインの伸びを生かして釣るほうが楽かなと思います。
流れの緩やかなポイントがおすすめ
ヤマメやイワナは、俊敏性や体の滑らかさを生かして、源流の流れの入り組んだ場所などでも、難なく泳いでしまいます。
しかしニジマスはそういった場所は得意とせず、ある程度水深があって流れが太いような川を好む傾向があります。
生息域がかぶっている場合、いわゆる中流域などはヤマメやイワナよりも、ニジマスやアメマスが多くなりますね。
そういった場所はサイズもいいので、やはりある程度パワーがあるロッドのほうがやり取りしやすいかなと思います。
寒い時期よりは十分温かい時期
ニジマスはほかのトラウトに比べて高温に強く、水温が20度前後あるような日でもぼちぼち釣れます。
むしろ日本の厳しい冬にはあまり対応していないようで、雪が積もる時期には真っ先に姿が見えなくなるイメージがあります。
飼育下では水温5度から餌を食べるそうですが、ルアーを追わせるということで考えれば、適水温としては13~15度程度と考えるといいでしょう。
これはニジマスの体の活性というよりは、餌によくありつける時期の水温が15度程度なので、学習的にこの水温になると高活性になっているのかな、と個人的には思っています。
レンジは気持ち浅め
ニジマスはどちらかというと上に向かって泳ぐのが得意な魚で、水面付近での捕食が非常に活発です。
イワナなんかは水底の岩の上にへばりついていたりするので、少しアピールの仕方が違うと言えますね。
次の項目でも解説しますが、釣りやすいロッドアクションを考えても、少し浅めをイメージするといいかなと思います。
【重要】ルアーのアクションは抑え気味
ニジマスは泳ぎの硬い魚で、ヤマメほど上下左右の動きに俊敏に反応できず、ミスバイトが多くなります。
つまり、ヤマメを釣るときのぐちゃぐちゃトゥイッチなどでは、アピールは出来るものの食いきれないというわけですね。
ニジマスを狙って釣るときに有効なのが上下の動きで、フォール後のリフト中、またはフォールでガツンと食ってくることも多いです。
フォールを生かすためにも、基本のレンジは気持ち浅めがいいというわけです。
掛かったらロッドを下向きでやり取り
ニジマスは上方向への泳ぎが得意で、ジャンプも非常に高いです。
フッキングした後もその能力を生かし、ジャンプして何とか逃れようとするので、ロッドを上に向けるとジャンプしやすくなってしまいます。
なるべくロッドは下向き、もしくは横に向けてランディングまで持ち込むと、ばらしにくくスムーズにいきやすくなります。
ニジマスがルアーで釣れないときは?
上記したのはあくまでわかりやすい「基本」で、必ずしもこれをやったからと言って釣れるわけではありません。
紹介したようなポイントに注意しているのに、なぜかニジマスが全然釣れないという方は、以下のようなポイントをチェックしてみましょう。
魚影が薄いかも?
ニジマスはそもそも日本の魚ではないので、特定の地域を除けばごっそりと居る魚ではありません。
「ニジマスが居る川」を突き止めても、魚の数がそもそも少なければ釣るハードルは高くなります。
放流していて確実にいるなどでなければ、あきらめてほかの川に行ったほうがいいかもしれませんね。
先行者が居たのかも?
ニジマスはヤマメに比べると警戒心は薄いイメージがありますが、それでも人が入れば警戒します。
釣られることに対するスレは比較的ないものの、ウェーディングで川を歩かれればさすがに餌を食べるどころではありません。
いつも調子のいい川で、コンディションもいいはずなのに反応が悪かったら、早めにあきらめたほうがいいでしょう。
水温が低すぎるor高すぎるかも?
ニジマスは比較的水温変化に強い魚ではありますが、やはり水温が適さなければ活性は下がります。
特に15℃以上の水温、また水温が下がるタイミングで活性が下がりやすいイメージがあります。
国産トラウトであれば現在の水温のみ見ていれば大抵釣れますが、ニジマス狙いなら前日前々日からの気温変化も考えながら読むのがおすすめですね。
リトリーブが速すぎるかも?
ニジマスは諦めが早い魚で、自分の能力では追いつけないと思った獲物は簡単に見限ります。
激しいトゥイッチはもちろん、リトリーブも速すぎると、簡単にプイッと旋回して帰って行ってしまいます。
ルアーの能力にもよりますが、なるべくスローに、アクションを付けるなら上下を意識すると釣りやすくなります。
ルアーがあっていないかも?
ニジマスは比較的広いエリアを好んで生息しますが、そう言った場所ではルアーの能力も顕著に出ます。
基本的にはトラウト用のルアーなら誰でも釣ることは可能ですが、どう使い分けるとより有効なのか考えながら使い分けるといいでしょう。
ニジマスが釣れるルアーの種類とおすすめモデル
ルアーにはそれぞれ特性があり、その特性を活かせばより釣りやすくなります。
ではニジマス狙いを前提に、どう言ったルアーをどう使えばいいのか、またどのモデルがおすすめなのかも併せてご紹介します。
最も効くのが「スピナー」

ニジマスはアクションにはあまり反応しませんが、フィッシュイーターとしての本能もある魚です。
なので、波動やフラッシングなど、小魚の出すシグナルによく反応します。
アクションは不要で波動とフラッシングを生かしたいときに最も有効なのがスピナーで、筆者もニジマス狙いであれば真っ先にチョイスするのがスピナーです。
【ニジマスにおすすめのスピナー】ダイワ マイヤーパンサー
スピナーも様々ありますが、ニジマスに使うなら、ダイワが輸入販売しているマイヤーパンサーがおすすめです。
ニジマス、とくに大物を狙う場合はある程度遠投し、魚を探しながら釣ることになりますが、その時にマイヤーパンサーが威力を発揮します。
砲丸型ボディで非常にキャスタビリティがよく、狙ったところまですっ飛んでくれるのが、ほかのスピナーにはない魅力です。
アピールやアクションはARスピナーやシルバークリークスピナーのほうがいいのですが、デカイニジマスを狙う大味な釣りではマイヤーパンサーが筆者のお気に入りですね。
マルチに使える「スプーン」

スプーンは古くからトラウト用ルアーとして親しまれ、どれだけのニジマスを魅了してきたか想像もつきません。
スプーンのメリットとしては、金属光沢を生かしたフラッシングと、安定したスイムアクションです。
スピナーほど強く魚を惹きつけませんが、レンジキープもしやすいですし、小さなアクションを出せるという意味では釣りやすいルアーと言えるでしょう。
価格も安いのでルアーケースを潤しやすいですし、スピナーに並んでおすすめのルアーです。
【ニジマスにおすすめのスプーン】アングラーズシステム BUX
スプーンも各社様々なものが発売されていますが、個人的に一番気に入っているのがアングラーズシステムのBUXです。
BUXは設計のバランスが良く、大きく湾曲したボディはよく水を受け流し、かつ細身で泳ぎを崩しにくい設計になっています。
ローリング系のバランスのいいスイムアクションはニジマスとの相性も良く、フォールも比較的ゆっくりなので上下の動きも生かしやすいです。
それでいて価格もそう高くなく、カラーバリエーションが豊富なのが、筆者がBUXを気に入っている理由ですね。
腕に自信があれば「ミノー」

昨今の渓流ルアーの中心になっているミノーですが、個人的にはニジマスを狙って釣るには少し効率が悪いのではと思っています。
というのも、ミノーはフラッシングや波動が強いわけではないので、スイムアクション自体が強く魚を惹きつけるわけではありません。
ロッドアクションへの追従性の良さを生かし、トゥイッチなどアクションを付けることで魚にリアクションバイトを起こさせますよね。
ニジマスはそういった動きに反応こそするものの、遊泳能力の低さで食いつけないことも多いので、釣りあげるにはやや効率が悪いのです。
とはいえ、細かなアクションで魚にスイッチを入れるという意味ではスピナーやスプーンに勝ります。
なので、そういった扱い方ができるほど腕に自信が出てきたら使うという形にするといいかなと思います。
【ニジマスにおすすめのミノー】ラパラ カウントダウン
ミノーについては、そもそもの効率の悪さを鑑みて、釣りやすさでチョイスしました。
ラパラのカウントダウンはバルサミノーと呼ばれるタイプで、浮力の高い木材をブランクに使用し、スイムアクションの回転数が高いです。
回転数の高いスイムアクションはニジマスの好みで、カウントダウンに限らずバルサミノーの多くはニジマスからの反応が良好なのです。
またカウントダウンはシミーフォールという揺れながら落ちる特性があるので、フィール中もアピールも出来ます。
正直、どの渓流用ミノーでもニジマスを釣ることは可能なのですが、ニジマスを狙う上でのミノーの欠点を補うという点でいえば、カウントダウンが最もおすすめですね。
というわけで
今回は渓流釣りにおける、ニジマスに特化した釣り方を解説しました。
経験から得た感覚をもとに釣れる上手な人は「そんなことしなくても釣れる」と思うかもしれませんが、むしろ経験で判断できない初心者こそこういった細かいポイントを考えることで、より釣果につなげやすくなるかなと思います。
特に魚種ごとの攻め方というのはあまり意識されない部分ですが、習性の違う魚を狙うのであれば、やっぱりそれに合わせるに越したことはありません。
今回紹介したニジマスの釣り方は、私も脱初心者出来たポイントですので、ぜひ実践してみてくださいね。
というわけで今回はこの辺で。次回更新もよろしくお願いします!