管理釣り場はそれそのものが楽しいだけでなく、これからルアーフィッシングを始めようとする方すべての勉強の場としても優れたレジャーです。
しかしルールの中で釣るという、ほかの釣りにはない制限があるため、より正しい知識が必要になります。
にもかかわらず、「エリアトラウトロッド 初心者」で検索すると、トップに出てくるのが渓流兼用の知識ばかりでびっくり・・・。
というわけ今回は、初心者の方に向けて、ゼロからわかるエリアトラウトロッドの選び方を解説していこうと思います。
エリアトラウトロッドとは?
エリアトラウトロッドとは、そのまんまの意味で、管理釣り場でのマス(トラウト)釣り用に作られたロッドです。
世の中にはバスロッド、アジングロッドなどなど、魚種対応のルアーロッドがたくさんありますが、その中の1つのジャンルに当たります。
トラウトロッドにも二種類あり、管理釣り場用のエリアトラウトロッドに対して、自然の渓流などで使うネイティブトラウトロッドがあります。
トラウトは自然の川や湖などでも釣れますが、釣り方には環境も影響するので、管理釣り場という環境も踏まえた設計になっているというわけです。
そのため、汎用ルアーロッドやネイティブ用トラウトロッドとは根本的に作りが違うので、代用よりはエントリーモデルでもいいので専用品を用意するのがおすすめですね。
エリアトラウトロッドの基礎知識
もう少し掘り下げて、エリアトラウトはほかのロッドとどう違うのかを解説していきます。
エリアトラウトはお金がかかることもあり、やる人とやらない人がはっきりしている釣りでもあるので、実は店員さんでも的確なアドバイスができるとは限りません。
ネットの情報でも結構適当なものが多いジャンルでもあるので、そういう情報に惑わされないよう基礎知識を固めておきましょう。
基本的な選び方は一般的なルアーロッドと同じ
エリアトラウト専用とはいえ、基本的な考え方は一般的なルアーロッドと同じと考えてOKです。
ルアーロッドの3要素である「長さ」「パワー(硬さ)」「テーパー」が、わかりやすい違いと言えますね。
表記に特別な部分もないので、選ぶ際はルアーロッドの基本的な選び方に準じてOKです。
もちろんエリアトラウト用としてどういったものが適しているかは違うので、細かくは後半で解説していきます。
ネイティブトラウト用とエリアトラウト用は”別物”
よく混同されてしまいますが、自然渓流で釣るネイティブ用のトラウトロッドと、管理釣り場で釣るエリア用のトラウトロッドは全くの別物です。
見た目も近いですし、釣る魚も同じですが、なぜ違うのでしょうか。
それはなによりも環境の違いで、自然渓流と管理釣り場では釣り方が全く変わるからです。
一番の違いが使うルアーで、自然渓流では魚が釣れさえすれば制限がなく、重視するのは流れの中でのアクションや操作性です。
一方管理釣り場は、事故防止などの観点から軽いルアーを中心に、バレやすいバーブレスフックを付け、あまりアクションを付けずに使います。
そのため、ルアーの操作性は重視せず、軽いルアーを投げやすく、バレないことを重視した作りになっているのです。
なので、例えばエリア用とネイティブ用では同じULでも操作感や投げ心地も違うので、流用すると釣果に影響が出てしまいます。
なお、渓流型管理釣り場の場合は、ネイティブトラウトロッドを使うのも選択肢になります。
基本的にバスロッドやアジングロッドの代用はNG
バスロッドやアジングロッドなど、別な釣りで使われるロッドをエリアトラウトに代用するのは、全くダメではありませんがおすすめしません。
紹介した通り、硬さの作りが違うために使いにくいので、投げられても掛けられない、寄せられないという問題が起こりがちなのです。
慣れれば釣ることはできると思いますが、最初から無理な釣りをするのは釣果へのデメリットが大きいでしょう。
せっかくエリアトラウトに興味を持ったなら、安いものでもいいので専用品を用意するべきだと思います。
初心者向けエリアトラウトロッドの選び方
では具体的にお店に出向いて、実際に品物を手にしたときに、どこをチェックすれば良いのか解説します。
初心者用は6,000~15,000円程度
最近、安くて使えると話題の鱒レンジャーも立派なトラウトロッドで、私も2本購入しました。
ただし、エリアトラウトに使えないわけではないものの、おすすめはしません。
なぜなら鱒レンジャーは、2,000円程度なら十分すぎるほど使えるという話で、釣りやすいロッドではないからです。
やはりある程度の価格のものは必要で、売価で言えばそれは6,000〜15,000円の範囲というわけです。
別に15,000円以上のでも良いんじゃないの?というのはごもっともなんですが、エリアトラウトではさまざまなメソッドがあるために、いくつかのロッドを使い分けるのが基本ですし、最初の一本の使い心地に不足を感じて買い替えることも多いです。
なので、安く抑えて2本目に備えるという意味での上限額を設定してみました。
もちろん高級取りの皆さんなら、一本目から気になるハイエンドに手を出しても問題があるわけではありません。
スピニングロッドが基本
リールにはスピニングリールとベイトリールの二種類あり、エリアトラウトロッドにもスピニングロッド、ベイトロッドがあります。
ベイトはベイトで良さがありますが、基本的にはスピニングリールにメリットがあるので、最初はスピニングロッドがおすすめです。
その理由は、スピニングなら管理釣り場でメインになる数グラムのルアーを投げやすく、管理釣り場で重要になるドラグもベイトより優れているからです。
リールの違いについてはまた次回以降ご紹介しますが、ベイトリールに特別な思い入れがないなら、スピニングタックルが使いやすいことは覚えておきましょう。
長さは6ft前後
管理釣り場で使うロッドは、主に5ft台から6ft台です。
その理由を簡単に言えば、管理釣り場という環境においては、これ以上に長いロッド、ないし短いロッドは使いにくいからです。
まず第一に、管理釣り場は混雑すると隣り合って釣ることも多く、長すぎるロッドだと周りに迷惑をかけることが多いです。(ハウスルールで長さの制限がある場合もあります)
また、長いロッドだと魚を引き寄せた時にネットインしにくく、ロッドへの負担も大きくなって最悪折れてしまうリスクもあります。
短いロッドについては、ブランクが短い分ロッドの弾力に頼れる余地も少なくなるため、必要以上に短いロッドはバーブレスだとバレが多くなるデメリットがあります。
釣り方によっては短いもの、長いものをあえて使い分けることもありますが、最初の1本としては基準的な長さともいえる6ft前後がおすすめです。
もちろん身長的に短いほうが扱いやすいという場合は、4~5ft程度のロッドもおすすめです。
パワーはSUL~UL
管理釣り場では軽いルアーを使うため、XULやSULなど、一般的なルアーロッドよりもさらに柔らかいラインナップがあります。
最近は管理釣り場側も釣る楽しみを充実させるために、50cm以上の大物も珍しくなくなり、大型魚に耐えられるLクラスのエリアトラウトロッドも増えてきました。
さらに言えば、クランクやミノーなどプラグ向きに、MLなどかなり硬いものもあり、一つの釣りとしてはかなり幅広いパワーから選ばなければいけません。
その中から初心者用としておすすめなのは、下から二番目のSUL、その次に硬いULが使いやすいでしょう。
一般的にこのパワーなら、スプーンのメインウエイトになる1~3gが扱いやすく、アベレージサイズのトラウトとのやり取りにも不足ありません。
レギュラーテーパーがおすすめ
テーパーとは、簡単に言えばロッドのどこから大きく曲がるかを表していて、主に魚をどうフッキングするかに影響します。
レギュラーテーパーは比較的ロッド全体が曲がるもの、ファストテーパーは先端が曲がるものを指します。
小難しい話になるので詳細は今回はおいておきますが、基本的にはレギュラーテーパーのものがおすすめです。
最近ファストテーパーのエリアトラウトロッドで増えていて、玄人になるほどファストテーパーを好む傾向にあるとも言えます。
ただ、ファストテーパーは自ら積極的に魚を掛けに行くのに向いているため、まだアタリの取り方がわからない初心者の方だと扱いにくさがあります。
なので、あくまで入門用であれば、ロッドに頼って合わせられるレギュラーテーパーをおすすめします。
初心者の1本目におすすめのエリアトラウトロッド
読んでくれた方の選択肢を狭めてしまうので、あんまりおすすめ○選みたいなものは好きじゃないんですが、とはいえ今回はあったほうがいいと思うので、あくまで私が触った中でのおすすめモデルをご紹介します。
もちろんこれ以外にも素晴らしいロッドはたくさんあるので、ぜひお店に出向いていろいろ見てみてくださいね。
【ダイワ】トラウトX AT 56XUL・N
筆者も管理釣り場デビューで初めて買ったロッド(現モデルの前のモデル)で、価格も安く、基本的な作りに不足のないコスパに優れたロッドです。
ダイワさんはエリアトラウトのトーナメントにも積極的に参加する、エリアトラウトに明るいメーカーで、低価格帯にもその技術がフィードバックされています。
この価格にして結構感度がよくて、コツンというアタリを感じやすいのが高ポイントです。
気になる点としては、使っているガイドが少々前時代的なので、基本的にはナイロンラインを使ったベーシックな釣り方から始める場合におすすめのロッドであると言えますね。
【ダイワ】イプリミ 62UL
同じくダイワさんのエリアトラウトロッドで、ミドルクラスとエントリークラスの中間的なモデルです。
トラウトXの一つ上のモデルに当たりますが、こちらは現在主流のSiCガイドで、より現代的なメソッドにも対応します。
また、ロッドのブランクス全体にブレーディングXという構造を取り入れていて、柔軟性がありつつ魚に主導権を握られにくい作りになっています。
トラウトXとの性能差と価格差を見比べても、十分価値ある一本ですね。
あくまで個人的にですが、色が独特で合わせられるリールが少ないというのはややデメリットかなという感じです。
【ジャッカル(ティモン)】T‐コネクション コンフィー TCC-510UL
次に筆者が購入予定のロッドで、初心者の入門用としてのスペックを重視した、クセのないロッドです。
ティモンもトーナメントライクな商品を発売するメーカーで、エリアトラウトをやるなら注目のメーカーです。
5.1ftと短めですが、これは軽いルアーを鋭くキャストしやすいメリットと、ランディングのしやすさを両立した、合理的な短さと言えます。
デザインもほかにはないイメージで、個人的にはここが購入を決めたポイントでもあります。
唯一気になるのがコスパで、入門用で定価13,420円なら、中級者にもおすすめのイプリミが14,500円と考えると、スペック的にはやや劣るイメージは否めません。
ただ専用ハードケース付きでもあるので、そこに価値を見出せるかどうかでコスパが左右されるかなと思います。
【シマノ】トラウトワン AS S60SUL-F
筆者がT-コネクション コンフィーと最後まで迷った、シマノのエリアトラウトロッドです。
定価18,900円と少々お高めということもあり、スペック的には申し分なく、グリップの感触やウエイトバランスも優れたロッドと言えます。
またSULでありながらかなり粘りのある作りなので、軽いルアーとの相性、大きい魚とのやり取りを両立しているのも高評価です。
価格が安定していれば実売15,000円程度なので、この予算が出せるならマルチに使える一本としておすすめです。
じゃあなんで貴方買わないのというとやっぱりデザインで、クラシックなトラウトロッド風のものは家にあふれていることもあって、変わり種のT-コネクション コンフィーを選びました。
【ツーリングモンキー】グレート鱒レンジャー改 SP50 ダークナイトII
解説の中で初心者に鱒レンジャーはおすすめしないと言いましたが、唯一例外的におすすめなのがこちらのモデル。
通常の鱒レンジャーはグラスソリッドというベニャンベニャンのロッドなのですが、このモデルはそうではなく、ピンとしたハリがあります。
それでも柔らかいので、これまで紹介したロッドにはさすがに劣りますが、実売3,000~4,000円と考えれば、その価値は十分あるモデルですね。
なにより安いもので、細かいことはさておき、とりあえず管理釣り場のルアー投げられればいいという方なら、通常の鱒レンジャー、鱒レンジャーNextなどより鱒レンジャー改ダークナイトⅡがいいでしょう。
デメリットとしては全体的に安っぽいこと、ガイドがPEに使いにくいというのもありますが、なにより1ピースで携帯性に劣るのがデメリットです。
というわけで
今回は世の中のエリアトラウトロッドの扱いに反旗を翻すべく、初心者の方向けにエリアトラウトロッドの選び方について解説しました。
細かい部分は各メーカーでも解説してくれているのでガッチリ覚える必要はありませんが、とりあえず管理釣り場には管理釣り場用のロッドが必要だということだけは覚えておいていただけるといいかなと思います。
次回はリールについても解説して、その後ラインやルアーについても初心者向けに解説していきますので、興味のある方はぜひまた遊びに来てくださいね。