昨今の釣りブームで、どこの釣り場も大混雑ですね。
そんな中でもゆっくりゆっくり人気が上がっているのが渓流釣りで、「海が混んでいるから・・・」と最近始めた方も多いようです。
しかし海のルアーよりも渓流でのルアーは釣れないことが多く、肩を落として帰っていく先行者の姿もよく見かけます。
実際、渓流ルアーフィッシングは他の釣りとは考え方が違い、私も最初は少し頭を悩ませました。
しかし難易度としてはほかの釣りの方がよっぽど高く、個人的にはシーバスより釣りやすいと考えています。
実際、釣れた数だけで言えば、ほかのどの釣りよりも釣れているので、ポイントさえ抑えれば初心者にも釣ることはそう難しくもないはずです。
というわけで今回は、渓流ルアーでまだ満足に釣れていない方に向けて、意識するべきポイントをご紹介しようと思います。
渓流魚がルアーで釣れない理由

いきなり出鼻をくじきますが、渓流はルアーフィッシングのなかでも、釣れる人と釣れない人がはっきり分かれる釣りです。
これは、他の釣りに比べると、渓流では環境的要因が大きいからでしょう。
私も昔全然釣れずに悩んでいたんですが、これから紹介する、3つの釣れない理由の仮説を立てて試したところ、見違えるほどに釣れるようになりました。
釣れる釣り方にたどり着くために、まずは釣れない理由を考えてみましょう。
①餌>>>フライ(テンカラ)>>ルアー
渓流釣りは圧倒的に餌が有利で、続いて毛鉤を使うフライやテンカラ、それより釣りにくいのがルアーです。
その理由は、渓流魚の食性にあります。
釣った渓流魚を捌いた経験のある方は分かる通り、渓流魚のお腹から魚が出てくることは稀です。
つまり、渓流魚は魚をあまり食べていないというわけです。
トラウトが魚を積極的に食べるなら、さまざまな魚種を放している管理釣り場では、共食い祭りですぐに魚がいなくなってしまいますよね。(イトウは結構同じポンドの魚を捕食するらしいです)
自然渓流においては、食べているもののほとんどは水生昆虫などの虫なので、虫そのものを使う餌釣りが最も有利で、その虫をイミテーションした毛鉤も有利になるというわけです。
ではなぜルアーでも釣れるのか、というのは後ほど解説しますが、ルアーで釣るならルアーにしかない優位性を生かさなければいけないというわけです。
②魚と人の距離が近い=スレ
海や湖などの釣りよりも、渓流釣りは難しい傾向にあります。
その理由の一つに、魚の警戒心を煽りやすいことが挙げられます。
海や湖は、水深もあり遠投で探れるため、魚が人を認識する確率は低いです。
しかし渓流では、枝木を避けるために川の近くから、なんならウェーダーで川に入って釣ることすらありますよね。
渓流魚はもともと警戒心が強い上に、釣り方でより人間と距離が近付けば、スレるのは必然です。
一度人やルアーに警戒した魚はしばらく警戒心が強い状態が続きます。
なので、古くからのテンカラ師などは朝早くから釣りに出かけます。
③タックル・ルアー選びの基礎が重要
どんな釣りでもタックルは重要ですが、よりタックルの違いを感じやすいのが渓流釣りです。
流れの中でルアーを操る事、そして状況に対応しながら釣り歩くのがその理由です。
トラウトはルアーへの見切りが早いために、タックルに弱点があると、しっかり掛けて取り込むという動作に不備が出やすくもなります。
さらには、ルアーを動かすという基本動作も、タックルに不備があれば十分にできず、そもそも食わせるレベルに持ち込めていないことすらあります。
高いものである必要はありませんが、渓流釣りにしっかり使えるものを用意するのは必須です。
渓流ルアーで釣るためのポイント

では釣れない理由が分かったところで、どうやったら渓流魚を釣ることができるのか、ポイントを考えてみましょう。
ごくごく基本的なことではありますが、意外と本などでも触れられていないことがあるので、長くなりますが今一度チェックしておきましょう。
①渓流に合わせたタックル選び
釣り具はターゲットや釣り方に応じてさまざまな物がありますが、渓流釣りは中でも特化したタックルが必要な釣りです。
すでに揃えてしまったと言う方も、適したタックル選びができているか確認しておきましょう。
硬さ(アワセ・アクション)重視のロッド
渓流釣りは遠投はそこまでせず、どちらかというとスポット打ちの精密キャストが多く、枝木の迫り出した場所で竿を振ることも多いので、取り回しを考えると短めが好まれます。
具体的には、4ftから、長くても6ftぐらいが多いですね。
が、長さより重要なのは硬さです。
バイト後の見切りが速いトラウトは、なかなかオートフッキングは望めないので、しっかり合わせられる硬さが必要です。
また、ヤマメやイワナなどはトゥイッチが好きなので、こまめなアクションが可能なロッドが必要です。
エリアトラウト用のロッドを流用している方も多いですが、エリア用は渓流用よりも柔らかく作られているので、渓流での釣りやすさは劣ります。
出来れば最初はちゃんとしたネイティブ用を用意するのがおすすめですね。
ハイギアのリールが必須
リールは、スピニングなら2000番まで、ベイトならフィネス対応のものが使えます。
ベイトなら左ハンドルが手返しの良さを活かしやすいのでおすすめですね。
共通するのはどちらもハイギアであること。
これは上流に向かって投げて巻いてくるとき、ローギアだとかなり早巻きしなければいけないからです。
巻き取りが遅いとラインにたるみが出て、たるみが出ると魚がルアーを食っても重みを感じにくいので、せっかくのアタリを逃すことになります。
ベイト、スピニング論争みたいなものもありますが、基本的には狙ったところに投げられるならどちらでもいいかと思います。
ラインは細め
他の釣りから始めた方に多いですが、ラインを不要に太くするのはNGです。
渓流で太いラインが釣れないのはエサ釣りでも同じで、デメリットになります。
アタリも取りにくくなるので、ドラグにも頼って4ポンドを中心に使うようにしましょう。
素材は初めはナイロンがおすすめです。
PEなども人気ですが、使い方によってはアタリが取りにくく、トラブルの少なさはナイロンの方が勝るので、慣れるまではナイロンがいいでしょう。
②ルアーの使い分け
渓流で使うルアーは、主にミノー、スプーン、スピナー辺りでしょう。
実はこれ使えばなんでも釣れると言うわけではなく、使い分けが大事です。
これを知らないと、魚が多いポイントでもなかなか釣れないこともあるので、必ず覚えておきましょう。
ミノーは難しい
最近は渓流釣りもミノーがよく使われていますが、実は1番釣るのが難しいのがミノーです。
渓流魚のほとんどは虫を待って食べるスタイルなので、小魚はあまり食べません。
しかし小魚を追う本能はあるので、ミノーで釣ることもできますが、本能を刺激するアクションができないと反応してくれないことも多いです。
長くなるので今回は深く触れませんが、渓流魚でも魚種によって好みのアクションは変わります。
さらに、アクションを付ければいいと言うわけではなく、アクションを付けた上で食べさせなければいけません。
状況に応じて上下左右に、スピードやレンジも考えながら動かさなければいけないので、ミノーは難しいのです。
初心者はスピナーに頼るべし
最近はなぜかあまり使われませんが、スピナーは渓流でテキメンに効果的なルアーです。
低コストで、フラッシング&波動という魚の強く好む動きを持っています。
沈みすぎないように巻けば、ニジマスなら簡単に釣れるでしょう。
ただし、ブレードが回らなければ釣れないのと、大きいものになるとややシルエットが大きいのでミスバイトは多くなります。
また、浅すぎる場所だと泳がせきれないので、膝までないような深さの川だと、やや使いにくさもあります。
とは言え技術もあまり必要なく、何も考えず投げて巻けばいいので、とりあえず釣りたい初心者は必ず用意するべきルアーです。
スピナーが使いにくい時のスプーン
スプーンはスピナーと同様に釣りやすいですが、強い波動が出にくい分ただ巻きではスピナーに劣ります。
しかし、動きの自由度はスピナーに勝るので、トラウトに対して効果的なルアーです。
浅く流れが入り組んだような場所でも、スプーンを転がすように流すだけでも釣れることがあります。
また、軽いアクションにも対応するので、小さいプールなどでも効果的に使えます。
これらはスピナーではやりにくい芸等ですね。
なお、流れの中でのレンジキープはやや難しいので、初心者のうちは深めの川で、ニジマスがメインの場所ではスピナーに頼るのがおすすめです。
③魚が食えるアクション
アクションの方法に関しては、今回長くなるので避けますが、魚が食い付けることが重要です。
よくありがちなのが、トゥイッチを入れてアピールするのはいいものの、トゥイッチが鋭すぎて魚が追ってるのにミスバイトだらけになることです。
魚が食うことを前提にしていないアクションは、フェイントを入れているのと同じなので、魚が追っても食い付けずに終わってしまうのです。
その点スピナーならアクションを付けないので、スピナーが効くシチュエーションならミスバイトなく食い付かせることができるので、初心者でも釣りやすいというわけです。
とはいえスピナーがすべての状況で釣れるわけではないので、ミノーなどを使う場合、アクションに対して魚がどう反応するかもイメージすることが重要です。
これは他の釣りでも同じなので、ぜひ意識して釣るようにしましょう。
④川歩きの基本
渓流釣りと言えばウェーディングしながらの川歩きのイメージが強いですが、それは魚の警戒心を煽ることに他なりません。
しかし、しなければ釣れない場所がほとんどなので、警戒心を煽らない所作が必要です。
川に近づく前にワンキャスト
釣り場についたら、まずは川から数メートル離れたところから投げてみましょう。
入水するまでもなく、川に近づいた時点で居着いている魚は逃げるからです。
とりあえずポイントに着いたら、川に近づく前にワンキャスト。
魚が居着きそうな場所がいくつか有れば、一通り探っておきましょう。
無理にウェーディングしない
渓流では、陸より川の中の方が歩きやすいことが多いです。
しかし川に入っている以上、そこにいる魚を警戒させるにほかならないので、なるべく入水しないで歩くに越したことはありません。
川淵や、中洲のように陸に上がれる場所があれば、そこから釣った方が釣れる確率は上がります。
水の中ではそろりそろり
ウェーディングしなければいけない場所では、細心の注意を払い慎重に釣り歩きます。
ルアーを投げて巻くときは絶対に歩かない。
歩くときはザバザバと水音が鳴らないようにゆっくりと足を運ぶ。
これは必須です。
その他のポイント
自分の技術や道具ではどうしようもないことでも、簡単に釣れなくなるのが渓流釣りです。
ここは運でもありますが、注意するべきポイントも解説しておきます。
先行者の存在に気付く
魚にプレッシャーをかけるのは自分だけでなく、先に入釣している先行者がいても同じことです。
渓流においては、基本は上流に向かって釣り上がりになるので、お互いに移動すると存在に気付かず、先行者が下ってきた時に気付くことが多いです。
そうなれば時間の無駄になりかねないので、入渓するときに真新しい足跡があったり、車があったりしたら、軽く探ってみて、反応がなければ早めに撤退する判断も必要です。
水温が高すぎor低すぎ
夏の渓流は気持ちいいですが、渓流魚は夏が嫌いです。
比較的暑さに強いニジマスでも、水温が15度を上回ると徐々に活性が下がるので、夏場は深い場所などに潜むようになります。
逆に冬場、水温気温ともに低すぎると、今度は餌がなくなるので、多くの渓流魚はスリープモードに入ります。
同じ時期においても、長期的な天気などで状況は変わるので、数日前からの天気や気温も把握しておくようにしましょう。
魚がいる川かどうか
そもそも、ヤマメやイワナ、ニジマスなど、魚がいる川かどうかはなにより重要です。
突然絶滅することはないので、近々で釣果情報があればいるはずですが、魚影の濃さも重要です。
とはいえ、ルアーを投げて反応しないだけなら、自分が下手なだけな可能性もあるため、魚がいないと思い込むのは自己肯定感を得るだけの答えです。
ルアーで一通り探って反応がないなら、できれば餌も試してみると、自分が下手なだけなのか、本当に釣れる魚がいないのかわかるので、初心者のうちは頼るのも一つの方法です。
最後に
今回紹介したポイントは、ごく基本的なことです。
しかし、ほかの釣りの経験がある方から見れば、気にするべきポイントが多いですよね。
これこそが渓流釣りの難しさですが、逆に言えばこれだけ気を付ければ、釣るための準備は整っているということです。
近年渓流釣りも人気が徐々に上がり、釣れるポイントも少なくなっています。
まずは今回紹介したように、釣れない理由を一つ一つ潰し、少しでも釣れる確率を上げ、美しい渓流魚に出会いましょう。